今月は2年ぶりに妻と海外旅行に出かけた体験をまとめました。

北欧旅行記

 平成24年7月10日から18日まで、阪急旅行社のツアー「美しき北欧4カ国周遊9日間」に参加しました。
 成田からフィンランドのヘルシンキまで航空機で行き、ヘルシンキで別の航空機に乗り換えてデンマークのコペンハーゲンに到着、ここから北欧の旅が始まりました。
 コペンハーゲンからノルウェーのオスロに船で渡り、フィヨルド見物をした後、ベルゲンを回りました。
 ベルゲンから航空機でスウェーデンのストックホルム、ストックホルムからフィンランドのヘルシンキに航空機で飛びました。
 翌日ヘルシンキから成田に戻りました。利用した航空機はすべてフィンランド航空でした。
 航空機や船の利用時間を除くと、デンマーク1日、ノルウェー3日、スウェーデン1日、フィンランド1日、訪問した都市は6ヶ所の忙しい旅で、じっくり北欧を観察したり感じたりする時間はありませんでした。
 ここではその乏しい体験から得たメッセージをまとめてみたいと思います。消化不良で的外れのところもあると思いますがお許しください。
 なお、日記風の旅行記は、7月の手賀沼通信ブログに「北欧旅行」を6回に分けて書いております。

1.北欧4カ国で感じたこと
(1)北欧は一番近いヨーロッパ
 地図の上で見ると北欧は遠い感じですが、飛行機に乗ると北欧はロシアを除くと一番近いヨーロッパです。地図でなく地球儀を見るとよく分かります。
 ヨーロッパに行くときは、日本を横断して日本海をわたり、シベリアを横断して、ウラル山脈を越え、フィンランドの上空あたりからヨーロッパに入ります。フィンランドのヘルシンキはちょうどヨーロッパの玄関に当たる感じです。
 飛行時間で見てみましょう。航空機の機種によって違いますが、トラベルメディア社のホームページによると最短時間は下記のようになっていました。
・成田−ヘルシンキ   10時間20分
・成田−フランクフルト 11時間40分
・成田−ロンドン    12時間
・成田−パリ      12時間20分
・成田−ミラノ     12時間30分
 飛行機の旅では、最後の1〜2時間がきつく感じられます。北欧を往復してみてヨーロッパのほかの国よりは近くて楽だということを実感しました。

(2)共通する自然の美しさ
 北欧は自然の美しさに恵まれています。緑と美しい海に囲まれています。7月は夏の真っ盛り、どの国もどの都市も目にしみるような緑といろいろな花が真っ盛りでした。
ノルウェーの道端の花 コペンハーゲンの昔の港(ニューハウン)
ノルウェーの道端の花 コペンハーゲンの昔の港(ニューハウン)
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 立ち寄ったコペンハーゲン、オスロ、ベルゲン、ストックホルム、ヘルシンキはいずれも海に面した都市で、美しい海と港で有名です。港につながれた大型客船や漁船もヨットやボートも見事に周りの風景にマッチしていました。そしてどの港にもバイキングの遺産が残っているということが分かりました。
 ただ自然の美しさは国によって異なる特徴を見せていました。
 デンマークは山のない平坦な国で酪農王国です。
 高速道路から緑の牧草地に牛や羊がのんびりと草を食んでいる風景が見られました。
 ノルウェーにはほかの国に見られないフィヨルドがあります。スカンジナビア半島の西側を占めるノルウェーはスカンジナビア山脈が国を貫いています。そして氷河が山脈を削ってできたフィヨルドが独特の景観を生んでいます。2日間滞在したハダンゲルフィヨルド地区のロフトフースの町はフィヨルドのすぐそばにあり、雪をいただいた山々がフィヨルドの水面に写りすばらしい眺めとなっていました。山の急斜面とそこに残る雪は、数多くの滝を作り出します。ノルウェーの自然の観光は、フィヨルドと滝を眺める観光でした。
ホテルの前のハダンゲルフィヨルド ノルウェーのショス滝
ホテルの前のハダンゲルフィヨルドノルウェーのショス滝
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 スウェーデンとフィンランドは今回の旅では、都市の外に出る機会はありませんでしたが、市内観光や早朝の散歩で、ストックホルムやヘルシンキの都市が自然の美しさを取り入れて、自然と調和しながら造られているということを感じました。
 北欧の人々はこの自然を愛し、自然と親しみながら暮らしているとのことでした。

(3)エコな暮らし
 エコは北欧をイメージする言葉の一つになっているようです。デンマークのコペンハーゲンには、海の中に20基ほどの風力発電の風車が立っていました。デンマークでは電力の約20%を風力発電でまかなっているようです。
 コペンハーゲンのホテルには浴室のバスタオルのそばに「10人のうち8人の方は同じバスタオルを使います」と書かれたプレートがぶら下がっていました。おそらく連泊する人へのメッセージなのでしょう。
 各都市とも市内を走っている車は明らかに少なく、道が渋滞することはありませんでした。ところが大型バスが駐車する場所が少なく、観光で駐車する場所を探すのにドライバーが苦労していました。大型観光バスは、北欧で暮らす人にはあまりなじめないのかもしれません。
 コペンハーゲン、オスロ、ヘルシンキにはトラム(市電)がありました。
コペンハーゲンの自転車通勤 ストックホルムのシティバイク・ステーション
コペンハーゲンの自転車通勤ストックホルムのシティバイク・ステーション
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 ノルウェー以外の各都市では自転車道が完備していて、自転車による通勤者が数多く見られました。スウェーデンのストックホルムには、シティ・バイクの無人のステーションが市内各所にあり、バイクカードを案内所で購入すると、市民や観光客が簡単に利用できるようになっていました。ただ、ノルウェーは坂が多いせいか自転車道の整備が遅れていて、自転車の利用はほかの国より少ないようです。帰ってからネットで調べてみると、ノルウェーも他の国に倣って自転車を重視する都市づくりを始めていると書かれていました。
 ガソリンの値段は日本より高く設定されています。ノルウェーは原油と天然ガスを輸出する資源大国ですが、ガソリンの値段は1リッター220円以上になっていました。

(4)福祉国家
 北欧はご存知の通り福祉国家として有名です。その代わり税金が高く設定されています。細かい内容は帰国後インターネットで調べてみました。

 単位は%   消費税率  税負担率
・スウェーデン  25      54.4
      食料品12
・デンマーク    25      69
・フィンランド   22      49.4
       食料品17
・ノルウェー    24      43.1
       食料品12
・日本        5      23.2

 福祉政策の内容は国によって違いがあるようですが、
・出産費用、教育費は大学まで無料
・病院、介護費用は無料 
・生活に困らない年金の支給
・その他各種の福祉政策があり、死ぬまで心配は要らない
 が基本のようです。

 北欧4カ国でお世話になった現地ガイドは、各都市に長く住んでいる7人の日本人でした。何人かのガイドは税金は高いが先の心配がないので安心といっていました。
 日本のような制度がいいか、北欧のような制度がいいか、簡単には結論付けられないとは思いますが、政治家や関係官僚などはもっと本腰をすえて勉強してほしいと思います。

(5)クルージング
 北欧はバイキングの末裔でどの国も海洋国家です。4カ国は、ノルウェー海、大西洋、北海、バルト海のどれかに面しています。
 旅行会社で企画する北欧旅行には,必ずといっていいほどクルージングが含まれています。代表的なクルージングは、私たちが乗ったDFDSシーウェイズとストックホルムとヘルシンキを結ぶシリアラインです。
パールシーウェーズ号
パールシーウェーズ号
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 DFDSシーウェイズは、デンマークのコペンハーゲンとノルウェーのオスロを結ぶ16時間30分の船旅です。
 2隻が交代で就航していますが、私たちが乗ったのはパールシーウェイズ号で2168名収容、さまざまなレストランやバーやショッピングセンターやカジノなどを備えた豪華客船でした。船の中はデンマーク・クローネ、ノルウェー・クローネ、ユーロが使えました。
 船室は海に面しており、4人収容、シャワーとトイレと洗面台がついていました。スーツケースは持ち込めないので、翌日分の着替えや洗面用具などをかばんに入れて持ち込む必要がありました。
 レストランはスモーガスボード(バイキング料理のこと)で、海鮮料理を中心に50種類以上の料理が用意されていました。北欧名物の真っ赤な色をした茹でたザリガニもありました。

(6)北欧4カ国が似ている理由
 北欧4カ国は大変よく似ています。国が変わっても別の国に来たような感じはあまりしませんでした。特にデンマーク、ノルウェー、スウェーデンの3カ国が似ています。理由を考えてみました。
 以下はネットや書物で調べて私が勝手に類推したことなので、正しいかどうかは分かりません。間違っていたらお許しください。
 まず第1は民族と言語が似ているようです。どの国の言葉もまったく理解できないので、Wikipediaの受け売りです。3国は北ゲルマン民族の国で、デンマーク語、ノルウェー語、スウェーデン語は北ゲルマン民族が話す北ゲルマン語に属しています。フィンランドの多数民族はウラル系のスオミ人で、言語も別の系統ですが、フィンランドにはスウェーデン系フィンランド人もいるため、スウェーデン語も公用語になっています。
 4カ国とも英語がどこでも普通に通じます。これも言語が似ていると感じさせた大きな原因かもしれません。
 第2は歴史的に4国が戦争と同盟を繰り返し、負けたときは他国に支配され、それぞれの文化が入り混じったためではないかと思います。また宗教は同じで、キリスト教のプロテスタントのルター教会が多いようです。
 通貨の単位は、フィンランドはユーロですが、他の3国はそれぞれのクローネを使っています。これも過去の同盟の遺産のようです。円との交換比率はどこのクローネもほぼ同じです。
 フィンランドは共和制ですが、それ以外の3カ国は立憲君主制、おそらく長い歴史の中では皇室同士の姻戚関係があるのではないでしょうか。国旗は色は違いますが、ほとんど同じデザイン、「スカンジナビア十字」と呼ばれる左よりの十字を使っています。
コペンハーゲンのホテルのロビーの椅子
コペンハーゲンのホテルのロビーの椅子
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 第3は地理的環境が似ていることでしょう。緯度が高く、夏は白夜、冬は寒くて暗い日々が続きます。太陽を求める欲求が高く、短い夏を楽しもうという気持ちが強いのも同じです。北欧の人が言うには、北欧が家具のデザインで有名になったのは、夏を屋外で楽しみ、冬を家の中で耐えるためのデザインを考えたからとのことです。
 地理的環境は食文化にも表れています。魚のサーモン、タラ、ニシンは北欧の定番食材です。トナカイの肉も食卓に上るようですが、今回は食べ損ねました。
 水道の水は4カ国どこでもそのまま飲むことができました。人口に比して広い国土と豊かな自然と豊富な水資源、そしてそれを大切にする人々がおいしい水を生んでいるのだと感じました。

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