あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 写真は手賀大橋から見た初日の出です。2012年は曇天だったので、2011年元旦のものです。
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 今月から何回かに分けてアルコールについてまとめてみます。  さてお正月のお祝いには日本酒が欠かせません。まずは日本酒から始めましょう。

日本酒物語

1.日本酒人気度ランキング
 ネットで日本酒の銘柄の人気度を調べてみました。グーグルで「日本酒ランキング」のキーワードで検索すると500万件以上がヒットしました。最初の方から適当に5つのランキングサイトを選びました。1位を10点、2位に9点、‥‥、10位に1点と得点を与えて5つのサイトの合計が次のランキングです。

@田酒  青森県 31点
A十四代 山形県 30
A久保田  新潟県 30
C八海山  新潟県 26
D越乃寒梅 新潟県 22
E獺祭   山口県 20
F飛露喜  福島県 18
G黒龍   福井県 16
H〆張鶴  新潟県 13
I天狗舞  石川県  9

 このランキングを見ると新潟県が4銘柄、東北が3銘柄、日本海側7銘柄となっています。
 昔から酒どころで有名な兵庫県の灘や広島県の西条や京都府の伏見の酒が一つも入っていません。東北でも秋田県や宮城県にもおいしい酒があります。
 人気とおいしさとは必ずしも比例していないのでしょうか。それともグーグルの最初のページに出てくるサイトが偏っているのでしょうか。
 なお上記のうち私が飲んだことのある銘柄は、久保田、八海山、越乃寒梅、〆張鶴、天狗舞の5銘柄です。

 以下2枚の写真は晩秋の手賀沼公園と手賀沼遊歩道のものです。

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2.日本酒の歴史
 日本酒の歴史もネットで探しました。以下はWikipediaと日本酒サービス研究会のサイトの記事をまとめたものです。

 「今のような米から作った清酒が生まれたのは平安時代と言われています。
 一説には僧侶が作る「僧房酒」の「菩提泉」が清酒の起源と言われていて、奈良正歴寺には「日本清酒発祥の地」の碑が立っています。また、兵庫県伊丹市鴻池にも「清酒発祥の地」の伝説を示す碑が立っていて、発祥の地を争っているようです。
 清酒を別にすると、お酒の起源は「魏志倭人伝」(3世紀)にさかのぼります。その中にお酒に関する記述がありますが、何を原料にどんな方法で造られたまでは記されていません。
 8世紀の奈良時代の「大隅国風土記」には生米を噛んで酒を造る方法が書かれており、同時期の「播磨国風土記」には麹カビによる酒造の記述があります。
 また同じ8世紀には大宝律令によって朝廷による朝廷のための酒造り体制が作られました。
 清酒に話を戻しましょう。鎌倉・室町時代になって商業が盛んになると、酒も米と同様に商品として扱われ、京都を中心に造り酒屋が隆盛し始めます。
 江戸時代になると酒造りの製法が進化し、酒造りのプロ集団杜氏が生まれ、酒造りに適した酒どころが定まりました。最も台頭してきたのが灘の酒で、樽廻船で江戸に運ばれ人気を博しました。」

 さて現代の話をしましょう。20年前までは日本酒は特級酒、一級酒、二級酒に分かれていました。これは昭和18年に決められた分類でした。特級酒はどろりとした甘口が多かったように思います。
 今は純米酒とか吟醸酒などになりました。甘口とか辛口などとも言われます。さらりとした飲み口がほとんどで、特級酒のようなお酒は姿を消しました。

3.日本酒の分類
 日本酒の分類は、等級がなくなってから複雑になっています。「仲友酒店」のホームページに載っていた分類をご紹介しましょう。
(1)醸造方法による分類
・普通酒
 原料は、米、米麹、醸造アルコールで、本醸造系、純米系に比べて、醸造アルコール使用量が多く、精米歩合も高いものが多い

本醸造系(米、米麹、風味を整え香りを高めるため醸造アルコールを加える)
・本醸造(精米歩合70%以下)
・特別本醸造(精米歩合60%以下)
・吟醸酒(精米歩合60%以下、醸造アルコールが白米重量の10%以下)
・大吟醸酒(精米歩合50%以下、醸造アルコールが白米重量の10%以下)

純米系(米、米麹、コメのうまみを生かすため醸造アルコールを使わない)
以下の分類は本醸造系とおなじ
・純米酒
・特別純米酒
・純米吟醸酒
・純米大吟醸酒
 精米歩合とはコメの表面を削り取り、残ったコメの比重の歩合です。高精伯ほど芯の純粋の部分が多くなり、フルーティな味となりますが値段も高くなります。
 醸造アルコールを加えるのはマイナスイメージがありますが、味はそうではありません。使用限度は厳しく制限され酒質を大変重視したものです。

(2)出荷方法の違いによる分類
・にごり酒/おり酒
 もろみをしぼる前に瓶詰にして出荷。生のまま炭酸ガスを残した本生と火入れしたものがある
・ささにごり/うすにごり
 もろみを軽く濾したり、澱の部分を後で調合したもの。本生の火入れしたものがある
・原酒
 加水調整をしないでもろみをしぼり瓶詰にした酒。華やかな濃厚さと、深い味わいが魅力。本生と火入れし
 たものがある
・無濾過酒
 濾過をしていない酒。自然に生成された成分がそのまま瓶詰めされている。淡いこはく色でコクとうまみが
 ある。本生と火入れしたものがある

 出荷方法に違いによる分類としては、上記以外に、酒槽しぼり、しずく酒(袋吊り)、あらばしり、中垂れ(中汲み)などがあります。
 本生酒は、火入れ酒に比べて抜群によい香りと喉ごしを楽しめます。ただ管理に気を配る必要があるので限定出荷が多く、本生酒を出荷しないところもあります。
 火入れ酒とされるものには厳密には3種類あります。生貯蔵酒は本生で貯蔵し、瓶詰め前に火入れします。生詰酒は貯蔵前に火入れし、瓶詰め時には火入れしません。火入れ酒は貯蔵時と瓶詰め時の両方で火入れします。

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4.日本酒の作り方
 日本酒の製法には、生もと作りとか山廃作りなどの製法があり、メーカーや銘柄によって微妙に違いますが、一般的な酒造りは次のようなステップになっています。
 ネットで検索した「日本酒のことなら何でも」と「永井本家−日本酒の作り方」を参考にしました。
@精米
 酒造りはまず酒米の玄米を精米します。表層部にはたんぱく質や脂肪が多く含まれているため、麹菌や酵母には栄養過多になります。酒米の中心部を残し、30〜50%を削って精米します。
A洗米
 精白した米は、表面の糠を落とすため、水で洗います。
B浸漬
 洗い終わると水につけられ、理想的な蒸米を作るため吸水を行います。
C蒸米
 次は米を蒸す作業です。
D麹造り
 蒸した米に、種麹をつけ育成させます。これは麹と呼ばれ、米のでんぷんを糖分に変える糖化の働きやアルコール発酵を促す役割をします。
E酒母作り
 酒造りに必要な酵母を増殖させた粥状のものを酒母と言います。「もと」とも呼ばれ、麹、蒸米、水、酵母を加えています。
F仕込み
 蒸米、麹、酒母、水を桶やタンクの中で混ぜ合わせて発酵させるのが「仕込」です。仕込みは4日にかけて3回行います。3段仕込みです。次第に泡立ってきた液体が「もろみ」です。「もろみ」の中では糖化と発酵が進みます。
G上槽(搾り)
熟成した「もろみ」を搾って、生酒と酒かすに分離させます。搾る方法は日本酒の種類によってさまざまです。自動圧搾機で搾ったり、昔ながらの槽搾りや袋吊りといった手作業で行う場合があります。
H濾過
 生酒は1週間ほどそのまま置き、澱(おり)を沈殿させ取り除きます。そのあと濾過を行いさらに残存物を取り除きます。このまま商品となるのが本生酒です。
I火入れ
 生酒は酵母や微生物が残っているため、変質の恐れがあります。それを防止するため加熱処理します。火入れは、普通この時期と瓶詰め前の2回行われます。
J貯蔵
 火入れを終えた酒は、タンクの中で熟成されます。期間は通常1〜3ヶ月です。
K割り水
 熟成を終えた酒は、瓶詰の前に仕込み水を加えてアルコール度数を調整します。通常はアルコール度数約15%にします。割り水を行わない酒が原酒です。
L瓶詰め
 割り水後、2度目の火入れを行います。そして殺菌された瓶に詰められ、封栓し、ラベルが貼られて出荷されます。通常は精米から8〜9ヶ月で出荷されますが、中には長期間熟成させるものもあります。翌年まで寝かせた酒が「古酒」です。

5.日本酒の話題あれこれ
(1)一人あたりの日本酒消費量の多い県は
 国税庁の統計情報から日本酒消費量ランキングをだしてみました。同統計から清酒と合成清酒の消費量を合計し各都道府県の成年人口で割った数字です。なお、2010年の消費量は震災で調査できなかった東北三県のデータが欠けているので2009年のデータを使っています。
 全国の日本酒消費量は6億6284万リットルで、成人ひとりあたり年間6.35リットルの日本酒を飲んでいる計算になります。年間9億6145万リットルの焼酎消費量の70%ほどの消費量です。現在では焼酎の方が人気があるようです。
順位成人1人当たりの年間消費量
新潟県 15.6 リットル
秋田県 11.8
山形県  9.9
福島県  9.7
石川県  9.56
富山県  9.55
鳥取県  9.3
長野県  9.2
島根県  9.17
10福井県  8.5

 日本海側や東北地方がベストテンに入っているのは、日本酒人気度ランキングに似ています。
 国税庁の統計ということは1人当たりの日本酒の出荷量か販売量から割り出していると思われますので、必ずしもその県の人の飲んだ量とは言えないのではないでしょうか。

(2)日本酒の酒どころ
 日本酒の酒造元は鹿児島県を除くと全県にあります。泡盛の沖縄県でさえ1軒の酒づくりメーカーがあります。各県に酒どころがあると言えるのではないでしょうか。
 その中から私の独断でいくつかの酒どころを選んでみましょう

@灘五郷
 江戸時代から灘五郷は酒どころとして名をはせました。江戸時代の灘五郷は、下灘郷(神戸市兵庫区・中央区)、西郷(同市灘区)、御影郷(同市東灘区)、魚崎郷(同市東灘区・芦屋市)、今津郷(西野宮)でしたが、現在は下灘郷が抜けて、西宮郷(西宮市)が加わっています。
 灘五郷の酒は、六甲山系の宮水によって仕込まれます。若めの掛け麹を使って強く発酵させ、お酒を絞るまでの日数が短いのが特徴です。そして夏の間にじっくりと熟成させ、ふくいくとした香気に満ちたお酒になります。

A京都伏見
 伏見の酒造りが花開いたのは、安土桃山時代といわれています。さらに江戸時代には、水陸交通の要衡として、伏見はますます発展。酒造家も急増し、銘醸地の基盤が形成されています。そして明治の後半には、天下の酒どころとして全国にその名とどろかせるようになったのです。

B新潟
 新潟が酒どころとして有名になったのは、良質な米と水、酒造りを極めた越後杜氏、厳しい寒さの新潟の気候風土がおいしい酒を生み出したためです。
 そして、久保田、八海山、越乃寒梅、〆張鶴などの名酒が新潟の名を高めました。

C秋田
 秋田県酒造協同組合のホームページに、美酒王国の秘密が出ていました。「秋田県は、寒冷積雪の冬が長いため、昔から酒の消費量が多いところです。 また、米産地として原料米の確保が容易であること、良質の水が得られることなどから清酒醸造に恵まれ、県内各地に多くの酒造業が興りました。その個性豊かな深い味わいは鑑評会などでも高い評価を得ており、「美酒王国」の名を名実ともに確かなものとしています」

D広島
 広島県は、南は瀬戸内海に面し、北は中国山地を頂き、その気温は、温暖な地域と雪国並みの豪雪地帯となって大きく異なり、まさに日本の縮図を見るようです。同じ広島の酒であっても、甘口から辛口、淡麗から濃醇まで味わいは多彩。個性的な酒が県内各地の蔵で造られています。

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