今月は小豆島・倉敷の旅行記と先月の日本酒に続く泡盛編をお届けいたします。

小豆島・倉敷旅行記

1.久しぶりの手作り旅行
 平成24年11月28日から30日にかけて妻と2人で小豆島と倉敷に行ってきました。小豆島は妻が以前からあこがれていた島です。
 私は小豆島のある香川県の隣、愛媛県の出身ですが小豆島には行ったことがありません。年初から、愛媛県に住んでいる妹や神奈川県にいる弟を含めた4人で集まろうと計画していましたが、妹や弟がこれなくなり、妻と2人の旅行になりました。
 妻と2人の旅行はいつもは旅行会社のツアーを利用します。その方が安上がりで簡単です。こちらで現地のことを調べる必要はなく効率的に観光地を回れます。
 今回は久しぶりの手作り旅行となったため、行程表から作り始めることとなりました。妹の知り合いの愛媛新聞旅行社のプロのすすめにしたがい、宿と観光コースを決めました。
 時刻表とインターネットでJR,船、バスの時間を調べました。
 頭を悩ませたのは観光中の荷物です。荷物を持ったまま観光することはできません。旅行会社のツアーではバスの中においていけますが、今回はどこかに預けるしかありません。小豆島では宿が観光ルートの途中にあるため、宿に預ける方法はとれません。現地の様子がわからないため行ってから考えることにしました。

なお日記風の旅行記は、2012年12月の「手賀沼通信ブログ」に載せてあります。

2.こだわりの宿
 小豆島の宿は部屋数7つ、最大収容人数28名の民家風の宿「もろみの島宿 真理」でした。
 この宿はトイレを除いて純和風になっていました。部屋の名前も番号でなく、ひらがなの「も」の間でした。真理でいちばん海が見える部屋とのことで、醤油蔵の瓦屋根越しに瀬戸内海が広がっていました。
 お風呂はお湯の中に薄めた日本酒を入れる「酒風呂」でした。
お風呂 4種類の刺身醤油
(画像のクリックで拡大表示)
 「もろみの島宿」というだけあって、夕食は新鮮な海の幸を小豆島の醤油ともろみを使った自家製調味料で食べ比べる「醤油会席」でした。
 刺身の醤油として、「諸味たれ」「つるびしお」「生あげ」「いりこ醤油」の4種類がついていました。

倉敷・アイビースクエア
(画像のクリックで拡大表示)
 倉敷の宿「倉敷アイビースクエア」は「つたの広場、赤れんがのホテル」がうたい文句で、赤れんがとつたがレトロでおしゃれな雰囲気を醸し出していました。
 昔の倉敷紡績の工場を昭和49年にホテルに改造したものです。倉敷の美観地区に隣接しており、観光にはとても便利な場所にありました。
 このホテルも愛媛新聞旅行社のプロのお勧めにしたがいました。どちらもこだわりのある素晴らしい宿でした。

3.空いていた交通機関
 今回の旅はいろいろな交通機関を乗りこなす旅でもありました。
 初日は、バス、常磐線、京浜東北線、東海道山陽新幹線、バス、フェリー、バス、宿の車の8回
 2日目は、宿の車、バス、ロープウェイ往復、タクシー、バス、高速艇、JR瀬戸大橋線、山陽本線、タクシーの10回
 3日目は川舟、タクシー、山陽本線、東海道山陽新幹線、山手線、常磐線、タクシーの7回
 家を出てから帰宅するまで3日間で25回交通機関を利用しました。
 宿の車とタクシー以外はそれぞれ待ち時間があります。旅行会社のツアーに比べるとそれだけ効率が落ちます。またほとんどが重い荷物を引いての利用です。
フェリーの内部
(画像のクリックで拡大表示)
 運がよかったのは京浜東北線と山手線を除いて、すべて座席が取れ、バスと船とロープウェイは驚くほど空いていました。小豆島へ行くフェリーと小豆島からの高速艇は15人ほど、混雑する時は1〜2時間待ちと言われる寒霞渓の40人乗りのロープウェイは上りが6人、下りが5人でした。
 待ち時間も写真を撮ったり、食事をしたり、次の予定を立てたりして有効に活用できました。
 妻が一番気に入ったのは新岡山港から小豆島の土庄行きのフェリーでした。空いているので場所を変えながら、1時間10分の船旅を楽しみました。

4.寒霞渓とオリーブと醤油の小豆島
 出発前、小豆島では寒霞渓とオリーブ園と二十四の瞳映画村の3か所を回るつもりでいました。費用はかかりますが、観光タクシーを利用すれば、荷物の心配もなく回れると思っていました。
 ところが宿に着いて、部屋の係の人と話しているうち、バスと渡し船を利用するほうがゆっくり観光できるのではないかと方針を変えました。
 理由はバスが思っていたより頻繁に出ているのとオリーブ園から映画村まで渡し船があることがわかったからです。荷物は宿の近くの草壁港で預けることができます。高松行きの船もそこから乗ります。
 観光タクシーは時間に比例した料金制となっているため、時間を気にしながら観光しなければなりません。小豆島でも好きなように回れる手作りの観光に決めました。
 寒霞渓は小豆島観光の目玉です。宿の車で草壁港まで送ってもらい、ロープウェイ乗り場に行く一番バスに乗りました。
 寒霞渓では予想通りの素晴らしい紅葉と渓谷美を楽しみました。予想通りでなかったのは観光客の少なさでした。ロープウェイの駅員の話では、今年は紅葉が早く、もうシーズンのピークは終わったとのことでした。
寒霞渓 オリーブ畑
(画像のクリックで拡大表示)
 小豆島は日本のオリーブ栽培発祥の地です。明治41年、三重、香川(小豆島)、鹿児島の3県でオリーブの栽培が開始され、小豆島だけが成功しました。
 地の果てまで続くようなイタリアやトルコで見たオリーブ畑に比べるのは申し訳ないですが、日本にもオリーブ畑があるのだということを、オリーブ園の中を歩きながら感じました。
 最後の二十四の瞳映画村は、オリーブ園から出ることになっている渡し船が木曜日はお休みだったため、行くのを取りやめました。
 小豆島は醤油の島でもあります。宿の「真理」の近くには、マルキン醤油をはじめとして多くの醤油製造会社が集まっています。マルキン醤油記念館では醤油造りの歴史と製造方法などを見学できるようでした。
 ヨーロッパ料理のベースのオリーブと日本料理のベースの醤油が同じ島に共生しているのに感動した次第です。

5.美術館と倉の倉敷
 倉敷の美観地区の倉敷川沿いには有名な大原美術館があります。また古い建物や蔵が使い方を変えて残っています。
蔵の街並み
(画像のクリックで拡大表示)
 観光案内所の倉敷館の向こう岸から川舟に乗りました。船頭さんが川の両岸の建物について詳しく説明してくれました。倉敷は戦災に遭っていないため、古い建物が残っているのです。
 倉敷を歩いていて妻が「ここの観光客は若い人が多いわね」と言いました。平日なのに確かに若い人が多いのです。
 観光地ではどこも老人が多いのですが、倉敷は若い人をひきつけるものを持っているのでしょう。長男も高校の修学旅行で倉敷に行ったそうです。古いものが若い人を呼び寄せるのはちょっと不思議に感じました。

泡盛物語

 泡盛は沖縄のお酒です。沖縄の先島諸島を回る旅で宮古島の「菊之露酒造」を見学しました。そこで菊之露を試飲して、泡盛のおいしさを知りました。妻ともどもすっかり泡盛のファンになりました。
 旅から帰った後、菊之露酒造に依頼して「菊之露VIPゴールド」を送ってもらいました。しばらくして柏のビックカメラでその銘柄を売っているのに気がつきそこで買うようになりました。最近ではネットで12本まとめて買っています。

 以下は主に沖縄県酒造組合のホームぺージ「泡盛百科」からまとめたものです。

1.泡盛ってどんなお酒
 泡盛の大きな特徴は次の4点です。
@原料にタイ米を使用する
 泡盛の原料には一部の銘柄を除き、インディカ種(細長い系統のお米)のタイ米が使用されています。これは昔からの伝統で、粘り気の強い日本のお米(ジャポニカ種)に比べ、硬質でさらさらしているため黒麹菌が菌糸を伸ばしやすい(米麹をつくりやすい)という特性があり、もちろん、香りや味わいに泡盛独特の風味を出す要因となっています。
A 黒麹菌を用いる
 麹はお米や芋などの穀物でお酒をつくるとき原料を糖化させるためにぜひ必要なものです。
 日本酒には黄麹、焼酎は主に白麹が使われるのに対し、泡盛造りに使用される麹菌は、「黒麹」です。泡盛の特徴はなんといってもこの「黒麹」を使うという点が挙げられます。
B 仕込みは1回だけの全麹仕込みである
 原料のタイ米を、黒麹を使って米麹にし、それに水と酵母を加えてもろみにし、2週間ほどアルコール発酵させます。このシンプルな工程は「全麹仕込み」といわれ、泡盛独特のものです。泡盛以外の国内の焼酎はこの仕込みの工程を2度に分けて行います。これも泡盛の大きな特徴となっています。
C単式蒸留機で蒸留する。
 2週間ほど発酵させたもろみを蒸留させるといよいよ泡盛が出来上がります。このときに使われる蒸留機は「単式蒸留機」と定められています。単式蒸留機は、もろみに含まれる成分をほどよく蒸気に含ませるため、原料の風味をあますところなく蒸留酒に反映させるという特徴があります。

2.おいしい古酒(クース)
 泡盛の大きな魅力は、年月をかけて熟成すれば素晴らしい古酒に育っていくことです。沖縄では、甕やビンに入れて熟成させることを「寝かせる」とよく表現しますが、寝かせば寝かすほど香りも甘くなり、口に含んだときの舌触りもまろやかになります。その風味の芳醇さは、1853年に琉球国を訪れたペリー一行が、「まるでフランスのリキュール(ブランデー)のようだ」と表現したように、現代でも、世界的に評価されている年代物のウイスキーやブランデーと肩を並べることができるほどの名酒なのです。
 では、泡盛はどれくらい熟成させれば古酒といえるのでしょうか。
 現在の規定では、3年以上熟成させた泡盛が、全量の50%を超えていれば「古酒」と表記してよいことになっています。蒸留して3年未満の泡盛は「一般酒」と呼ばれ、手頃に飲める泡盛として幅広く流通しています。
 つまり、「古酒」とだけ表記されている泡盛は、3年以上の古酒と一般酒のブレンドと言ってもいいでしょう。
 一方で、古酒年数をしっかり表記した泡盛もあります。2004年6月から沖縄県酒造組合が実施した品質表示の自主規制により、古酒年数の表示が厳しく統一されていますので、このように年数が表示された泡盛は、少なくともその年数は確実に熟成されているという証明にもなります。
 第二次世界大戦の地上戦で、かつて戦前まで沖縄に実在していた100年、200年といった超古酒は、ほとんどが失われたといわれています。
 現在の沖縄で公表されている中で、もっとも古いと思われるのは、識名酒造にある約150年物といわれている古酒です。

3.泡盛あれこれ
@アルコール度数
 25度から60度のものが販売されています。焼酎は20度や25度ですが、泡盛は30度が一般的です。度数の強いものに高価なものが多いようです。
A泡盛の飲み方
 焼酎やウィスキーなどの蒸留酒とほぼ同じです。
 ストレート、オンザロック、水割り、お湯割り、炭酸割り、その他お好みのもので割る、「泡盛百科」のホームページではいろいろなカクテルも紹介されています。
B泡盛のルーツ
 いろいろな説がありますが、タイやマラッカなどの東南アジアルートと中国の福建ルートの2つの道を通って、琉球に蒸留酒を造る技術が伝わってきたと考えられています。

inserted by FC2 system