今月は平成21年5月の第134号で書いた大河ドラマについてその後の作品をまとめてみたいと思います。

 もう一つのテーマは私の旅行記です。
 また旅行記かと皆様方にとってはいささか食傷気味の話題ではないかと思われますが、体調が回復せず、外部との接触が少なくなった現在、妻と一緒に行く旅行がささやかな喜びとなっており、手賀沼通信のとぼしいテーマの大きな一つになっています。申し訳ありませんがお付き合いくださるようお願いいたします。

 手賀沼通信第134号で大河ドラマの特集を載せました。前年に47作目の「篤姫」が終了し、直江兼続を主人公とした第48作「天地人」が始まっていました。
 第1作の「花の生涯」から第48作までの大河ドラマについての一覧表と大河ドラマについての考察をまとめたのが134号です。
 それから5年が経ちました。その間スペシャル(大河)ドラマも放映されました。
 ここでそれ以後の5年間についてまとめてみました。


大河ドラマ一覧(第134号に続く)

いままで放映された大河ドラマ(続編)
NO放映
タイトル主人公主な
出演者
原作脚本音楽平均
視聴率
コメント
492010龍馬伝坂本龍馬福山雅治
香川照之
大森南朋
オリジナル脚本福田靖(作)佐藤直樹18.7岩崎弥太郎の視点から龍馬を描く
502011江〜娘たち
の戦国〜
上野樹里
宮沢りえ
豊川悦司
田淵久美子田淵久美子吉俣良17.7史実を無視したような場面が多かった
512012平清盛平清盛松山ケンイチ
玉木宏
松田翔太
オリジナル脚本藤本有紀(作)吉松隆12.0大河ドラマ最低の視聴率
522013八重の桜新島八重綾瀬はるか
西嶋英俊
オダギリジョー
オリジナル脚本山本むつみ坂本龍一
中島ノブユキ
14.6幕末の動乱を敗者の立場から描く
532014軍師官兵衛黒田官兵衛岡田准一
中谷美紀
谷原章介
オリジナル脚本前川洋一菅野祐悟16.4ナレーターが交代したのは大河ドラマ初
スペシャルドラマ
スペシャル2009坂の上の雲(第1部)秋山真之
秋山好古
正岡子規
本木雅弘
阿部寛
香川照之
司馬遼太郎野沢尚
柴田岳志
佐藤幹夫
久石譲17.53人の主人公の松山時代から日清戦争まで
スペシャル2010坂の上の雲(第2部)秋山真之
秋山好古
正岡子規
広瀬武夫
本木雅弘
阿部寛
香川照之
藤本隆宏
司馬遼太郎野沢尚
柴田岳志
佐藤幹夫
久石譲13.5子規の死。日露開戦。広瀬武夫の死など
スペシャル2011坂の上の雲(第3部)秋山真之
秋山好古
東郷平八郎
本木雅弘
阿部寛
渡哲也
司馬遼太郎野沢尚
柴田岳志
佐藤幹夫
加藤拓
久石譲11.5旅順開城、日本海海戦、バルチック艦隊撲滅など

1.大河ドラマの考察

 5年間の大河ドラマについて考えてみました。

時代背景
 時代背景は48作までと同様、
@戦国時代−安土桃山時代−徳川初期  2回
A幕末−明治初期           2回
B源平時代              1回
となっています。
 48作までは、@が18回、Aが10回、Bが4回でした。やはりドラマの背景には大きく時代が変わる舞台が必要なのでしょうね。

原作と脚本
 5作を見ると原作となる小説がありません。「江 娘たちの戦国」は脚本を書いた田淵久美子の同名の小説を脚色したとのことですが、小説として特に脚光を浴びた記憶はありませんので、他の4作と同じように「オリジナル脚本」と考えてもいいのではないのでしょうか。

主人公
 坂本龍馬と平清盛を除くと、ドラマの主人公は主役ではなく、わき役になっています。とくに江と新島八重は女性で知名度も注目度も高いとはいえません。
 大河ドラマもネタ不足になっていると言えるのではないでしょうか。

視聴率の低迷
 平清盛はそれまでの51作の中で最低の視聴率でした。ここ10年でみても、龍馬伝は別として、それ以後の大河ドラマはそれ以前の5作の大河ドラマの視聴率を上回ったものはありません。
 原因は分かりませんが、面白さ、痛快さに欠けているのも事実です。

軍師官兵衛
 軍師官兵衛は信長、秀吉に仕えた黒田官兵衛についてのドラマです。官兵衛については司馬遼太郎の「播磨灘物語」という作品があります。あえてこの原作を採用せず、オリジナル脚本でドラマ化した理由は分かりませんが、今まであまりに多く司馬作品が登場したことがあるのかもしれません。司馬遼太郎原作はスペシャルドラマの「坂の上の雲」を入れると7本に上っています。
 今放送中の「軍師官兵衛」の方が面白いドラマに仕上がっています。

来年の大河ドラマ
 来年は「花燃ゆ」で、主人公は吉田松陰の末妹で、久坂玄瑞の妻となる杉文が予定されています。
 女性が主人公、時代は幕末というのは昨年の繰り返しみたいですね。

2.スペシャル大河ドラマの考察

 「坂の上の雲」は司馬遼太郎が映像にはならないと言っていた作品ですが、NHKはお金と時間をかけて見事なドラマに仕立てました。

ふるさとの英雄
 この作品によって主人公の秋山真之、秋山好古、正岡子規は私の故郷の英雄になりました。正岡子規は有名人でしたが、秋山兄弟は「坂の上の雲」が世に出るまでは、ほとんど知られていませんでした。
 戦争中祖母から秋山兄弟のことを聞いたかすかな記憶がありますが、軍人のため戦後は松山でもほとんど話題になりませんでした。

ドラマの構成
 1作90分、全13作品、3年間にわたって放映されました。番組制作費は他の大河ドラマに比べると桁違いだったと言われています。
 第1部は、「少年の国」、「青雲」、「国家鳴動」、「日清開戦」、「留学生」の5回でした。
 明治元年旧松山藩の秋山家に5人目の男児真之が生まれたところからドラマが始まります。5回目は真之がアメリカに、好古がフランスに、広瀬武夫がロシアに留学してそれぞれの目的を達成するところで終わります。
 第2部は、「日英同盟」、「子規逝く」、「日露開戦」、「廣瀬死す」の4回です。
 2回目では東京根岸の子規庵で療養していた正岡子規が亡くなります。懸命に看病したのは妹の律でした。
 第3部は、「旅順総攻撃」、「二〇三高地」、「敵艦見ゆ」、「日本海海戦」の4回です。
 題名からわかるとおり日露戦争に尽きます。今までの大河ドラマにない迫力でした。

配役
 これ以上の配役は選べなかったと思います。また役に打ち込んだ俳優も立派でした。
 秋山真之役の本木雅弘は、ドラマの収録中3年間はこの役だけに打ち込み他の役は受けませんでした。子規役の香川照之は子規の病気に合わせて17キロ体重を落としたそうです。

ロケーションとVFX技術
 日本国内や世界各地で多くのロケーションを行いました。日本とロシアの白兵戦や騎馬戦は日本軍はサロベツ原野や函館で撮影し、ロシア軍側はラトビア共和国やフランスでロケを行い、最終的にVFXで合成などという離れ業を使っています。

参考文献:「坂の上の雲」NHKスペシャルドラマ・ガイド 第T部、第2部、第3部 NHK出版
       「Wikipediaのホームページ」

九州の温泉めぐりの旅

高千穂峡
(画像のクリックで拡大表示)
 平成26年3月18日から21日まで、クラブツーリズムの「九州6県をめぐるご夫婦旅4日間」というツアーに行ってきました。
 今年喜寿を迎えたので、妻からプレゼントされた旅でした。
 旅のルートは、初日は東京駅から新幹線で小倉駅に行き、小倉からは観光バスで別府温泉に宿泊。2日目は原尻の滝、高千穂峡、瀬の本高原を回って湯布院温泉で宿泊。3日目は柳川、熊本城を回って、フェリーで島原に渡り、雲仙温泉で宿泊。4日目は長崎で大浦天主堂とグラバー園に行って、博多から新幹線で帰ってくるという日程でした。
 日記風の旅行記は3月の手賀沼通信ブログに載せております。

1.乗り物と温泉と食事の旅
 出かける前にはあまり深く考えなかったのですが、今回のツアーの目玉は乗り物と温泉と食事だったということに気がつきました。
 九州には昨年10月クルーズトレイン「ななつ星」と名付けられた寝台特急が走り始めました。3泊4日で最高95万円とのことですが、今年11月までは予約でいっぱいです。「ななつ星」に乗ることが目的のようです。最近ではクルーズ船に乗るツアーも人気があります。
 今回のツアーはそんな立派な乗り物ではありませんが、ツアーのサブタイトルに「往復のぞみ号グリーン車・禁煙席・ペアシート確約」とありました。しかも東京駅発10時10分とゆっくり出発でした。羽田まで2時間近くかかるところに住んでいますので、1時間ほどで行ける東京駅発の新幹線は大変楽でした。
 東海道新幹線は最近は全席禁煙の列車が増えましたが、たまに喫煙車がついている列車があります。ツアーによっては禁煙車を希望しても確約できないと言われます。妻は禁煙が確約できないツアーは申し込まないことにしています。

由布院
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 別府と湯布院と雲仙の温泉はあこがれでした。九州には今までに何度か行きましたが、この3か所の温泉には泊まったことがありませんでした。
 今回の旅ではいずれも早めに宿に入り、ゆっくり温泉を楽しめるようになっていました。
 湯布院では街歩きをしました。宿に着く前に町の駐車場にバスをとめ、自由に散策を楽しみました。湯布院は普通の温泉街と違った雰囲気を持っています。軽井沢に似た感じで、女性好みのものを売っているお店や美術館、博物館、民芸村などがありました。
 ただほとんどのお店が夕方5時に閉まってしまうので、私たちも5時前に切り上げて宿に戻りました。
 宿はクラブツーリズムの「5つ星の宿」、ゆったりとした部屋で、趣のある浴場でした。
 宿の夕食はすべて和食でした。どこも贅をつくしたものでした。ただ贅沢かもしれませんが、和食が3日も続くとちょっと飽きてきます。
 凝っていたのは昼食です。初日は車中だったので駅弁でしたが、2日目と4日目は昼食のためだけに観光地に立ち寄る日程になっていました。
 2日目は阿蘇五岳が一望できるという瀬の本高原のレストハウスでバイキングをいただきました。残念ながら霞がかかっていて阿蘇五岳は全く見えませんでした。
 4日目は長崎から博多に行く途中に有田に寄り道しました。「有田ポーセリングパークのんのこの郷」に行ったので、焼き物を楽しめるのかと思ったのですが、昼食を食べるためだけでした。
 昼食そのものがおいしかったのが、せめてもの慰めでした。

2.遠隔地まで足を延ばす観光ルート
 32年前に妻と初めて九州観光旅行を楽しみました。旅行のルートは逆回りでしたが、別府、阿蘇、熊本、長崎は今回とダブっています。
 今回は別府は泊まっただけ、阿蘇は瀬の本高原で昼食をとっただけ、熊本は熊本城見物だけ、長崎は大浦天主堂とグラバー園に行っただけでした。
 前回は、別府では地獄めぐり、阿蘇ではロープウェイに乗って噴火口まで行き、熊本では水前寺公園にも行きました。長崎では平和公園や市内見物なども楽しみました。
 前回は泊まった街やバスの途中や目的地を丁寧に観光しました。観光地を順番にたどると円が描がけました。ところが今回は観光する目的地が広がった代わりに、1か所に観光する場所を絞り込みそれだけを楽しむという方式でした。観光した場所をたどるとジグザグになっています。
 私の独断で判断すると、原因は高速道路網の整備にあるのではないかと思います。今回はバスでとにかくよく走りました。同じ道を行ったり来たり、大きく迂回したりしました。地図を見ましたが、おそらく前回の2倍近くは走ったのではないでしょうか。
 別府から高千穂峡に行って、阿蘇を通って湯布院に戻る道は、かなりの時間同じ道を往復しました。
グラバー園
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 翌日は熊本に行ったのですが、熊本は阿蘇から近く、湯布院に戻ってしまうと遠くなります。高速道路があるからこんなことをするのでしょう。
 観光地は高千穂峡や湯布院も印象的でしたが、一番心に残ったのは、グラバー園のすぐ前にクイーンエリザベス号が停泊していることでした。
 グラバー園には明治維新の成立や維新以後の近代技術の導入に貢献したイギリス人のトーマス・グラバーの邸宅があります。クイーンエリザベス号は同じイギリスが誇る世界一の客船です。
 写真は高千穂峡と湯布院の街とグラバー園のものです。

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